鶴保氏  そうですね。このままじゃいけないですね。
岸本氏  非関税障壁は設けられない時代で、材木は関税をかけられないですから。しかも価格・品質共にヨーロッパの方が競争力があるという事実もあるようです。この辺の議論がまた林野庁の役人は抜けているんですよ。建築基準法を変えればいいでしょうと林野庁はいうけど、その結果ヨーロッパに席巻されるんじゃないかと。
鶴保氏  なるほど。それはいかんです。
岸本氏  これは、それこそ政治主導で考えないと大変なことになります。

CLT木材。CLTとは、板を繊維が直角に交差するように重ね合わせて接着した大判の木質パネルのこと。


鶴保氏  政治の側でやらなければならないことで、ひとつ岸本先生にも是非ご協力いただきたいと思うことがあります。森林保全のための森林交付税については本当に長い間地方自治体が中心になって主張されてきたのですが、ここへきてようやく環境省も財務省も巻き込んで超党派の議員連盟を作ろうではないかという動きになっています。
 山・川・海の3つのエリアについて、上流から下流までの水の循環の流れにそってそれぞれの地域が環境保全を意識していれば国としてそれだけの交付金を出すという考え方です。一部それぞれの地域から協賛金的な税金をいただくことになりますが、あくまで限定的な範囲のものを考えています。目的は一言でいうと森林を守ろうということです。
岸本氏  ぜひ協力させて頂きます。山が荒れれば海が荒れるということはコンセンサスになっていますから、鶴保先生のいう海山川の水の循環というのは的を得ていると思います。
鶴保氏  この考えのよいところは都会にもメリットがあるという点です。水道のこともあるし、水産物など食品にもかかわってきます。
岸本氏  山を中心に海山川を一体にした絵がきれいにかけますね。山が荒れるということでいうと、速水林業さんに伺うと、山の地肌にきれいに下木や草が生えていて実に美しい森なんですけど、整備していない森に入ると真っ暗で草も生えていなくて地面は白茶けているんですね。整備している森としていない森では山の相が全然違う。
事務局  グリーンバナーは大阪府でも活動しているのですが、先日、大阪府森林組合さんの案内でやはり整備した森と未整備の森が隣同士に並んでいるところを見学しました。
 整備しているところは森林組合が少し手を入れた程度なのですが、森林自体がもっている自然の力もあって地表には下木や草があって岸本先生の言う相のよい森になっていました。一方で、整備していない方の森は下草もなく地表の土砂が流出して根がむき出しになっていて、防災上も心配な状態でした。
 なぜ、こちらは整備しないのですかと聞くと、持ち主が分からないから手がつけられなかったというんです。こうした放棄林が全国に広がっていると思うと問題の根は深いと思うのです。
鶴保氏  持ち主がわからないという問題はなんとかしなければなりません。実は、特定空家の除却のことでコペルニクス的な法案ができたんです。除却をしなければいけないくらい古い空家については税務署が持っている情報について開示しなさいということになりました。これまでは、持ち主が分かっていても税務署は情報を開示できなかったんです。これを山林にも適用して現場に情報が開示されるようにすればいいと思います。
 ぜひ、農地で言う「耕作放棄地」のような単語を作って、民間から要望を上げて頂ければ制度化を是非進めたいと思います。
岸本氏  それにしても森林や林業は問題が山積みですね。
事務局  本当に話すときりがないくらい課題があります。そのぶん日本にとって重大なテーマでもあります。両党を代表するお二人のお話が聞けて、活動を推進する知恵をいただいたように思います。今日は本当にありがとうございました。

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