岸本氏  日本の場合は違法伐採というものは基本的にないのですが、世界的にはインドネシアなど違法伐採が深刻で、産地が明確で適正管理のもと出荷していることを認証するFSCという認証制度があります。先ほどの速水林業さんは日本で真っ先に認証取得していますが、こうした認証がなければ国際的なサプライチェーンに乗っていけないことになっています。オリンピックやサミットなどの大きな国際イベントや英国王室などでは既に当たり前になっています。こうした観点で、オリンピックで新しいことをやればいいですね。
鶴保氏  私もまったくその通りだと思います。ヨーロッパやアメリカは全分野でデファクトスタンダードを握ろうとするわけです。木材だけではなくて、水産でも同じようなものがあって、MSCという国際認証制度の後追いで海のエコラベルという日本版MSCを始めています。既にMSC認証を受けていない魚は国際市場から締め出されるようになってきていて、TPPで水産物の輸出も考えなければならない時期に欧米のデファクトに従わなければならない現実があります。ですから、木材も同じようなことであれば、早急に対策を打っていくべきです。
岸本氏  FSCのきっかけになった違法伐採は日本では起こっていない問題だから日本で制度を立ち上げる価値がなかったということはあります。
事務局  日本で今起こっている森林荒廃の新しいパターンというのは、対処法を見出していくことで世界に必要なデファクトを生み出していける可能性があると思います。
岸本氏  それであれば、ぜひ超党派で研究していきたいですね。
 それと、技術の進展でバイオマス発電が進んでいますが、地域によっては木材が足りないといういう状況が起こっています。若い人たちな

FSCの認証マーク。木材だけでなくコピー用紙など木を原料とする加工品も含め認証の対象となっている。

んかもチャレンジして、地域で本当にちゃんとした森を育てて、森から良い木材を採ってある程度高い値段で販売して内装材などに使っていく動きがいくつかあるのですが、彼らにとってはバイオマス発電が始まるとすごく儲かるわけです。というのは、1本の木の良い部分は木材として付加価値をつけて販売する。そして端切れや枝などゴミになっていた部分をバイオマス発電の燃料として販売できればすごく収益率がいいわけです。ところが最初からバイオマス発電目当てで始めると、丸太ごとバイオマスに使うようなことが起こってしまっています。だから、バイオマス発電と使う木材の関係は早く整理した方がいいですね。
鶴保氏  切った材が目の前にあるバイオマス発電所というのが一番いいわけですよね。先程サプライチェーンといいましたけど、ひとところに全て集まったコンビナートのような発想をなぜもっと早くできなかったのかなぁと思うんです。和歌山県でいえば、田辺市や御坊市は木材の集積地として栄えた町ですから、もっと早く木材コンビナートをうちで作ろうという計画が出ていればよかったと思うのですが。集積して製材して、端材はバイオマスに回して、そこで値決めもして出荷するというようなことをやっていくべきだったと思います。三重県の松阪市はそれをやっていて、確かに現状は苦しいようですけど、そこへバイオマスもそうですし、CLTもそうですし、次々に新しい付加価値がついていくと思います。こうして一人勝ちの時代がやってくるように思います。
岸本氏  CLTについて、先ほど建築基準法も変わって大きな市場になるという話がありましたけど、実はヨーロッパのCLTが安い値段で入ってくる可能性が高いんです。

松阪市のバイオマス発電所。市は森林組合や発電所などと共同で間伐材を活用した効率的なサイクルを作った。


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