業や農地と同じように作ったのですが、これは反省になりますが、林野庁が主税局と組んですごく使い勝手の悪い制度にされてしまって、実はあまりワークしていません。
 ともかく、林業がビジネスとして成り立つようにしてあげないと、おっしゃる通り山が荒廃していくということだと思います。
鶴保氏  その通りですね。いくつか私の経験から問題提起をさせてもらいたいと思います。以前、私が国交省の政務官をさせていただいていたときのことです。林業を成り立たせるという岸本先生と同じ問題意識のなかで、ニワトリが先か卵が先かということですが、山から下ろし出す材のコストを下げるということについて、林業家に対する補助だとか、先ほど出た税制の話とか、そういう方向に政治が向きがちだからこそ、出口のところをちゃんとやろうよということで、住宅メーカー大手各社を呼んで林業者とのお見合い会をしようとしたことがありました。大手住宅メーカーは外国産木材を使って生産ラインを確立している状態ですから、そこへ国産材を使ってもらおうとしても相当苦労することはわかっていたのですが。それでも、まず国産材のどこに問題があるのか、どういう値段でどういうことをするべきか、サプライヤーとしての矜持がどういうものであるのか、話し合うことから始めようとしたわけです。それでどうなったと思いますか?
 お見合いの一週間前になって、「もう結構です」ということで断ってきたのです。
事務局  住宅メーカー側がですか?
鶴保氏  ところが木材側なんです。これは当時の私の想いと真逆でありまして、当然よくやってくれたと林業者や木材業者から感謝されると思っていたわけで。表向きの理由は、バルクセールで売るような山ではありませんということでしたが、本当の理由はよく分かりません。大手住宅メーカーが要求するような量や価格をとても出せませんからといいますが、それはまず話し合ってみなければ始まりません。問題がどこにあるのかを理解することから始めなければならないと私は思うのですが、非常に残念な結果になりました。
事務局  林業側が引っ込み思案になっていることはよく言われていることです。

鶴保氏  今日は、民主党の岸本先生と超党派で話ができる貴重な場をせっかく作ってくれているので話すのですが、党派は関係なくこのような重要なテーマは力を合わせてやっていくべきだと思います。
岸本氏  鶴保先生の発想はすごくいいなと思います。これは私も霞が関にいた人間なので恥ずかしいのですが、林野庁にしてもなかなか現場がわかっていない。我々政治家は選挙で揉まれて支援者や有権者の話を必死で聞くものですから、現場の草の根をやらないと選挙も勝てませんので、少しは現場を分かっている。ここのギャップというのはあります。
 私がすごくびっくりしたことがあります。間伐を進めなければいけないことがコンセンサスになった時のことですが、間伐を徹底的にやろうということで林野庁が色んな支援策を作って進めたところ、間伐材がドッと一気に市場に出て、そしたら何が起きるかというと木材の価格が下がったわけです。一気に供給が増えるわけですから当然です。役人というのはマーケット・メカニズムを分かっていないから、政治サイドで間伐を進めるよういわれると補助金制度を作って、マーケットでいくらになるかを考えず一気にやってしまう。結局値崩れを起こして益々自分の首を絞める結果になる。ですから、まさに鶴保先生がおっしゃった出口のところを考えるという発想を行政がもっていなかったところが問題です。
鶴保氏  役所の話で思い出したことがあります。国交省の政務官を終えた頃ですが、予算委員会で林野行政について質問をさせて頂こうとしたことがありました。緑の雇用制度がはじまる頃でしたから国民の関心も高まっていたので、こういう時こそ林業の再生だと思い、林野庁の長官に、林業のコストを下げるために国ができる

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