事務局  先日、大阪府木材連合会さんにうかがった際に、川井先生が提唱されているスリットが入ったスギ材のサンプルをいただいてきました。このパテーションがそうですね。
川井氏  加工技術は極めて単純で、こういうスリットを入れるだけなんですけど。それがどういう意味をもつのかを明確にして、そしてそれを実際に人が使ってどう感じるのかということを研究してきました。
事務局  これが画期的だと思うのは、もともと言い伝えであったり、感覚的なものとしてスギやヒノキなどの針葉樹を居住空間に使うことが身体に良いということはあったのですが、科学的な論拠が足りなかったという課題に応えていることです。

横にスリット(切り込み)が入っていて
スギと空気が触れる面積を大きくする構造

川井氏  実は私自身も家を全面的にスギのスリット材を使ってリフォームしたんですけど実に快適です。ただ、使えばわかるということではなく、スギを使うことの意味をきっちり伝えていくことが重要だと思っています。
事務局  先生の研究では、スギの木が環境汚染の要因となっている二酸化窒素やオゾンなどの物質を浄化することや、計算などの作業効率を高めることや、相対湿度を快適に維持することなどが明らかとなっています。まさに感覚的に理解していたことが、科学的に立証されてきました。こうした成果がきっかけとなって、たとえば滞在時間の長い寝室だけでも内装をスギに変えるといった動きが出てくることを期待しています。
川井氏  日本は木の国で、木の文化の国です。日本人には木と付き合ってきた長い歴史があります。そのなかに、日本固有の木としてスギの木がある。だから、なぜスギの木かといわれれば、スギは日本で生まれ育って、日本の環境に適応している木で、我々もそのなかで成長してきたという文化と歴史が背景にあるということが大切なことです。
事務局  恥ずかしながらスギが日本の固有種であることを最近知りました(笑)。
川井氏  スギは一族一種で日本固有の樹種だから日本に良いのだということをいい過ぎると教祖的になってしまうのですが(笑)。要はスギに馴染んで使いこなしてきた歴史があるということですね。
 これを私はたまたま一部だけを学術的に解明してより良くするための技術を開発したのですが、もっと奥には深いものがあるはずだと思うのです。細胞レベルとか別の観点で私たちが感じているストレスを緩和する機能などが証明されるように将来はなると思います。
事務局  特に都市生活者にとっては、スギというと花粉症の原因ということで悪者になりがちな面もあります。

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