森林の整備と木材の利用が
水害や土砂災害を緩和する

事務局  森林の公益機能では水だけでなく、空気も非常に大切な課題です。木が密集して暗くなった森林は二酸化炭素の吸収が弱いというデータもあります。
栗本氏  人間でいえば二十歳を越えると成長が止まって基礎代謝が落ちていくように、樹木の場合も50年くらいすると成長力が弱まっていきます。ですから、二酸化炭素の吸収ということだけでいえば50年くらいたつとまた新しい若い木に入れ替わっていくというのが理想なんです。
 木材としての価値は別の問題ですけれど、古い大きな木ばかりでなくて、ある一定の量は木を切って新たな木を植えて、成長力のある木に二酸化炭素を吸収して固定してもらうということが必要だと思います。切った木の方も燃やしてしまったのでは意味がありませんから、きちんと利用して木材として二酸化炭素を固定したままにしておくことが大事です。
 大阪の森についても、このように一定量木を入れ替えていくべきなのですが、十分ではないと懸念しています。
 間伐ではなく特定の場所の木を全て切る皆伐をした場合も、適切に行えば切ったところに草が生えてきて、ヘビなど野生動物が増えて、それで猛禽類などの鳥類も来ますから生態系にとっても悪くありません。
事務局  最後にもう一度、森林と災害の関係について話を聞かせてください。
栗本氏  最近起こっている土砂災害の規模を考えると、間伐をしていれば防げますとまではいえませんが、少なくとも普段から森林に手を入れていないと災害が拡大するというのは間違いないことです。
 先程の写真のように地面に草もなくて雨が降ると土砂が沢にながれていくような森林では沢の水を堰き止めていきます。すると、大雨のときに水の流れが不安定になるし、堆積した土砂
がもとになって土石流が発生しやすいです。
事務局  森林の手入れを行うことで水害についても被害を緩和する効果がありますね。
栗本氏  そうですね。水害についても緩和する力はあります。山に降った雨は森林土壌の隙間に保水される水と重力水と言って浸透して地下水になる水、それと表面を流れていってしまう水に分けられます。
 腐植というんですが、植物が腐って、また腐ってそれでも腐りきれないものが山にいっぱい残るんです。いわばプラスチックのような高分子で、この物質は粒子の大きさもそこそこあるので、森林土壌の団粒性が高くなります。そして団粒性が高くなれば水はけも良いし、粒の間に水がひっかかることで保水力も高まります。
 ですから、この団粒構造を持たせることが重要で、そのためには腐植が多く起こるような、下草や小木が生えているような森林の状態の方が良いわけです。
事務局  グリーンバナー推進協会は市民や企業と森林組合を結ぶ役割を果たして、分かりやすい目に見える形で森林の保護や整備を進めることに貢献していきたいと思っています。市民や企業が森林を守り、そして森林が社会を守っていくようにしていきたいというのが願いです
栗本氏  民間の組織が市民や企業をまとめてくれて、森林の保護や整備に力を貸してくれるというのは本当に理想的だと思っています。
事務局  私たちも精一杯グリーンバナーの普及に努めますので、これからよろしくお願いします。今日は本当にありがとうございました。

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