林業の長期低迷で必要とされる
新しい森林保護の枠組み
事務局  話しが変わりますが、特に問題が多く、自然環境への影響が大きい人工林を守るといったとき、人工林はもともと林業のために作ったものなのだから林業者が自己努力で守れば良いのではないかと思う人も多いと思うのです。これについては、いかがでしょうか?
谷関氏  人工林は林業の対象としての側面と、公益的な機能をもった公共財としての側面をもっています。日本の林業がビジネスとして成立していれば、木を活用しながら公共財としても健全に維持していくという正のスパイラルができるのですが、現実は国産木材の市場が長期低迷していることで木を切っても利益が出ないから森林が放置され、公共財としての機能も低下するという負のスパイラルに陥っています。
 国は造林補助金という制度を作って、日本の森林の大部分を占める民有林に対して、植林や間伐や枝打ちなどの実績に合わせて補助金を交付してきました。本来、この補助金の目的は森林の公益機能を維持するためにあるのですが、林業が成立していないような状態ですと受け取る側は林業維持のための補助金のような意識になってしまいがちです。
 平成22年に政府は木材の自給率を10年で50%に高めるという政策を打ち出しましたが、現実はまだ今も国産材のシェアは30%を切ったままで、このままですと林業の売上と造林補助金をあわせても森林の公益機能を守るところまで行きつけないというのが実際のところです。
事務局  ですよね。森林組合にとっては精一杯やってはいるけれど、限界があるというのが現実だというのはよく理解できます。だからこそ、政府とは別の枠組みで、公益機能の維持・向上にフォーカスした支援組織が必要だと考えたのが当協会発足の動機でもあります。 当協会は本当にまだスタートしたばかりなのですが、森林保護を通じて社会に貢献できるよう精一杯頑張っていきます。
 今日は貴重なお時間を頂きまして、本当にありがとうございました。



出典:和歌山県森林・林業局資料


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