森・川・海のメカニズム
どうして森を守ると田畑や海が豊かになるの?

森林保全・整備活動
豊かな地下水は森林保全から

森林に降った雨は長い時をかけて森の中で浄化され、腐葉土などの養分を貯えて、湧水や小川となって山里を潤します。整備の行き届いていない森林は地表が固く果樹園を育む水を生み出すことができません。

森が痩せれば田畑も痩せます

湧水が小川となり、小川が河川となり、整備された健康的な森林が生み出す養分を水が里へ、海へと運んでいきます。もし山が痩せて朽ちてしまったならば、川の生き物は失われ田畑も荒れてしまう運命です。

植物性プランクトンは森が育てる

豊かな森林の土に含まれる鉄分やカルシウムなどを川が海に運びます。この養分を食物連鎖のもとである植物プランクトンが吸収して増殖し、動物プランクトンが増え、魚が育ちます。豊かな森の下流には豊かな海が広がります。



広がる森・川・海の連携
漁師さんが河川の上流に植林する運動が広がっています。
 日本では古くから山が荒廃すると海から魚がいなくなると言い伝えられてきました。今では森と海の生物との関係が科学的にも明らかになってきており、漁業者による植樹も全国に広がってきています。 
大阪府の事例:高槻市の「ウナギの森」
 淀川の河口でとれる天然ウナギが大阪市の市場ではブランドになっており人気です。実は、淀川の上流に位置する高槻市には「ウナギの森」があり、大阪府の木材連合会などが主催して植樹祭を行っています。(写真は植樹祭と淀川河口のウナギ漁の模様)

 絶滅危惧種にも指定された天然のウナギが淀川で取れるようになった理由は、森林の整備などによる水質の改善でウナギのエサになる手長エビやハゼの稚魚などが増えたからだと推測されています。

和歌山県の事例:漁民の森づくり活動
 和歌山県では漁業士連絡協議会が事業主体となって平成10年度から森林組合の協力のもと漁師による植樹が行われています。昨年は串本町の山中でウバメガシやクヌギなどの広葉樹が1,000本植樹されました。(写真は植樹祭と森と海が接近した串本町の風景)

 海を考えながら森を守り、森に感謝しながら魚を取る。このように水と川が結ぶ生態系のサイクルが徐々にですが浸透してきています。しかし、林業同様に漁業も経済的には低迷が続いており、こうした森と海を守る活動には限界があって、広く府民や県民の理解が求められている状況です。



森林荒廃がもたらす被害
森林荒廃で壊滅状態になった襟裳岬沿岸の漁業が再生するまでの道のり
 森林整備と植林による海の環境改善運動は全国に広がりつつありますが、その先駆けとなったのが北海道の襟裳岬での大規模な植林活動です。

 明治時代になって、襟裳岬周辺には開拓のための入植者が多数入るようになり、農業や畜産業のために森林を大規模に伐採しました。その結果、土壌が不安定になり、栄養分が多く含まれていた表土が強風と雨水により流出してしまいました。すると、生態系が破壊され、植物性プランクトンや海藻が激減したため沿岸から魚が消える大惨事となってしまいました。当然、漁業は壊滅状態です。

 そこで1953年より国の事業として、襟裳岬周辺の緑化が開始され、今では豊かな森林と漁場に回復しています。

 下記の写真は森林が荒廃を極めて「えりも砂漠」と呼ばれるようになった当時の風景と現在の風景の比較です。そして、右側の写真は住民が必死の努力で緑化に取り組む姿です。
※写真出典:北海道森林管理局


緑化事業開始前(1953年頃)

えりも砂漠を行く“キャラバン”

現在の風景

草を根付かせるため雑海藻をしきつめる。
住民と試行錯誤の末開発したもの。   
豊かな森は豊かな海を育みます。
そして、一度崩壊した森と海の再生には膨大な努力と時間が必要です。
かけがえのない森の恵を忘れるわけにはいきません。


森がつくる水循環と農業
日本の水総使用量の65%を占める農業用水の源は森林です
 農業がどのくらい水を使うか、イメージできますか? なんと、日本の水総使用量834億トンに対して農業用水は549億トンになり、65.8%を占めています。
 水循環の研究で有名な東京大学生産技術研究所の沖研究室の論文によると、日本で1キロの米を生産するには3600倍の3.6トンの水が必要と算定されています。とうもろこしは1900倍、大豆は2500倍とのことです。

 農業用水はどこからくるかというと、その大部分は河川を流れる水に依存します。そして、河川を流れる水の大部分は森林に降った雨に依存しています。つまり、森林のもつ水を浄化しミネラルや養分を育み、そして安定的に川に供給していく機能(「かん養機能」と呼ばれます)が田畑の作物を育てる水の源なのです。

 農業用水の特長は、自然界の水循環と融合した形で利用されていることで、農業用水のうち実際に消費される水量は蒸発散分だけで使用量全体の約1~2割に過ぎず、約6~7割は使用後に川へ戻り、約1~2割は地下水になり、下流の都市や農地で再利用されることになります。

 森林に降った水が長い旅を経ながら私たちの生活に恵みを与えてくれているのです。

水源の森を出て田園を潤し、大河から海へと流れる水の長い旅

和歌山市を流れる紀の川の源流

水源の森がある奈良県川上村

上流から下流へ何度も田園で再利用される水

大河はいずれ海へと注ぎ豊かな海を育みます


森が育む水とミネラルは、農園を潤し、海を豊かにします。
当協会は、皆さまに無理なく森林保全に参加いただけるよう今までになかった新しいプログラムを用意しました。
カラダがよろこぶ、森がよみがえる、野菜&フルーツの定期宅配
「森の恵」 をぜひお試しください。